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ソラリス 貴腐 2015
「日本の風土で、日本のぶどうから、世界の銘醸ワインと肩を並べるプレミアムワインをつくる」
ソラリスブランドは、その想いとともにはじまり、最高品質のワインをつくるために、その年に収穫したぶどうのポテンシャルを最大限に引き出す努力を、決して惜しむことなく積み重ねてきました。言わば、マンズワインの挑戦の歴史でもあります。
その歴史の一ページに、貴腐ワインへの挑戦がありました。「甘口ワインの王」である貴腐ワインは、世界のワイン愛好家の憧れであるとともに、造り手としても一度は挑戦してみたい憧れのワインのひとつです。
今回お届けするワインは、数は極めて少ないですが、ソラリスの挑戦の歴史、たゆまぬ努力の結晶と言えるワインです。ちょうど飲み頃を迎えている「ソラリス 貴腐 2015」をお楽しみいただけましたら嬉しく思います。
貴腐ワインへの挑戦
貴腐とは
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貴腐ワインは「貴腐」(pourriture noble、noble rot)という特殊な状態になったぶどうからつくられるワインです。貴腐は、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)というカビが特殊な条件の下で白ワイン用品種に生育した場合にのみおこります。
貴腐は次のように進みます。まず、適度な湿気のある状態で完熟したぶどうにボトリティス・シネレアの胞子が付着すると果皮全体に菌糸が伸びていきます。その時、大気の湿度があまり高くなければ、ぶどうの水分を消費したところでカビの生育は止まり、ぶどうは糖分が濃縮された乾しぶどうのようになります。また、カビによって果皮の組織が破壊されることによる自然蒸発もこれを助長します。
それ以外の場合、このカビは灰色カビ(pourriture grise)と呼ばれ、ぶどうのみならず、多くの作物の収穫を台無しにする灰色カビ病を起こしてしまいます。
貴腐ができるためには微妙な気象条件が適切なタイミングで訪れ、その時点でカビの胞子がある程度存在している、といういくつもの幸運が重なることが必要です。
貴腐の収穫と醸造
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貴腐は進行が一粒ずつ異なっているため、収穫は手作業で粒選りし、同じ畑で何度も繰り返し行わなければなりません。醸造は、通常の白ワインと同様に仕込んでいきますが、浸透圧が非常に高いために発酵は酵母の働きが低下して緩慢にしか進みません。
貴腐は、収穫、醸造ともに大変な作業が必要になります。しかし、得られるワインは黄金色で、すばらしい芳香ときわめて濃縮された甘味を持つ高価で長命なものになります。
<世界の3大貴腐>
貴腐ワインの産地として世界的に有名なのは、フランス、ボルドー地方のソーテルヌ・バルザック地区、ドイツのライン川、モーゼル川流域、ハンガリーのトカイ地方で、世界の3大貴腐ワインと呼ばれています。ぶどう品種に共通性はありませんが、いずれも河川の流域にあり、ぶどうの完熟期に朝方の霧とその後の好天によって適度な湿気と乾燥が交互にもたらされることにより、貴腐が理想的な条件で進みやすいためと言われています。
マンズワインの挑戦
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世界のワイン愛好家、造り手ともに憧れる「貴腐ワイン」をソラリスのシリーズに加えたいという想いは、マンズワインの栽培家と醸造家、両方の願いでした。そこから、2004年に貴腐ワインのプロジェクトがスタートしましたが、湿度が高く、カビの発生が多い日本においても、そう簡単に結果が出るものではありませんでした。
貴腐菌自体が発生しない年、全体に病害が多く腐敗してしまう年、また、収穫を待っている間に雪が降り、えさを求めた鳥たちに食べつくされてしまう年など、苦労が絶えませんでした。レインカットの展開時期を遅らせたり、防鳥ネットを使ったり、貴腐にならない年には翌年まで置いてアイスワインを狙ったりと、様々な試行錯誤を繰り返したのです。
それでもワインにできる量の貴腐がとれ、貴腐ワインを醸造できた年は2006年(145本)、2009年(47本)、2012年(137本)、そして今回リリースする2015年(56本)のわずか4回のみでした。その後、毎年ぶどうの樹に負担がかかり過ぎることを考慮し、2015年に東御の畑での貴腐ぶどうの収穫は終了しています。
畑の選定
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2004年、ぶどうの生育期間中に長野県東御市西部、標高約750mにある契約栽培の畑のシャルドネに灰色カビが大発生し、この地区でボトリティス・シネレアが発生しやすい可能性が示唆されました。また、灰色カビは隣接地に影響を及ぼしますが、この畑は周囲にぶどうの栽培地がないことから、その心配もないこの地で貴腐ブドウの収穫を目指しました。
2015年の気象状況
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3月から5月にかけて平年に比べて気温は約1度高く、5月の雨量は少なかったため順調に生育しました。6月8日に梅雨入りし、7月19日に平年より早い梅雨明けを迎えました。梅雨明け後雨量も少なく、真夏日が続きました。8月12日から9月10日まではほぼ連日雨が降り、日照時間が少なく気温も平年を下回りました。その後天気は回復し10月末にかけて、雨も少なく日照時間の多い日が続きました。この天候の回復で全般的にぶどうの品質が高まりました。
仕込みと醸造
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2015年10月、11月、12月に収穫した貴腐ぶどう合計140kgで仕込みを行いました。ぶどうを手でもみ潰し(破砕)、一晩おいてバスケットプレスで搾ります。バスケットプレスは、たいへんシンプルな構造の小型の縦型圧搾機を使用しています。貴腐の果汁は、搾ってほとばしり出る、ということはなく、じわじわとしみ出してきます。
丸2日かけてゆっくりと搾り、酵母を添加し、約15℃に設定された樽セラーで発酵させました。
テイスティングノート
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外観は落ち着いた輝きの琥珀色。アプリコット、レーズン、紅茶、蜂蜜、ジンジャー、シナモンなど、複雑かつ上品で魅力的な香り。口に含むと濃密な果実味が口いっぱいに広がり、滑らかな酸味が上品な甘さを演出。豊かな長い余韻が感じられる複雑な味わいです。